「うちの子、ちょっと太り気味だから低脂肪のフードにしなくちゃね」「お肉は脂身のないササミだけにしているの」
そんな風に考えている飼い主さん、けっこう多いですよね。
「脂肪」=肥満、不健康、ダイエットの敵、と思われがちですが、それは今や間違った常識です!
ちょっとだけ難しい言葉も出てきますが、オイルのことをきちんと知って、正しく使って愛犬をピカピカ、ツヤツヤ、元気いっぱいにしてあげましょう。もちろん、飼い主さん自身にとってもオイルは健康の味方ですよ!
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<オイルの役割>
脂肪(油脂)と総称されるもののうち常温で固体のものを「脂(fat)」、液体のものを「油(oil)」と呼びますが、脂肪は栄養学的には「脂質」と呼ばれるグループに属します。炭素、水素、酸素から成る有機化合物で、体にエネルギーを供給する3つの栄養素(ほかにはタンパク質と炭水化物があります)の1つ。同じ量で比較すると、3つの栄養素の中でいちばんエネルギーを多く体に供給してくれます。脂質はエネルギー補給のみならず細胞膜やホルモン様物質の材料になるものなので、適量を摂取しないと、新陳代謝がうまく行われなくなったり、ホルモンが作れなくなったりしてしまいます。また、ビタミンEなどの脂溶性ビタミンを吸収するには脂質が不可欠です。摂り過ぎは確かに肥満の元になりますが、人間も犬も適切な量と質の志望を摂取しないと健康は維持できません。
【ラクダのコブの中身は?】 脂肪は糖質(炭水化物)やタンパク質に比べてエネルギーが高いだけでなく、いざという時には体内で分解されて水(代謝水)をつくることができるため、「エネルギーと水の貯蔵のための栄養素」と言われます。高熱が出ると、発汗で失われる水分を補給するのに脂肪が分解されるのですが、この原理を応用したのがサウナのダイエット。砂漠のラクダのコブに詰まっているのは水分ではなく脂肪ですが、これもいざという時の水分補給に役立つのだそうです。 |
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<オイルの種類>
一口に油といってもお肉についている脂身もあれば、バターやラード、サラダオイルやごま油などその種類はいろいろ。なんとなく体に悪そうに思える油もあれば、逆にとてもヘルシーなイメージの油もあります。その違いはどこにあるのでしょうか?
脂肪はグリセリンという成分に脂肪酸の分子が結合したもので、この結合している脂肪酸の種類によって脂肪の性質が決まります。

脂肪酸は、上の図のように大きくは「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。
脂肪酸は炭素原子と水素原子が鎖のようにつながってできています。原子にはそれぞれ決まった本数の手があり、水素原子と炭素原子がすべて手を繋ぎあっているものを飽和脂肪酸といいます。
一方、水素原子の数が足りないため、炭素と炭素が互いに手を繋ぎあって二重結合を作っているものを不飽和脂肪酸といいます。不飽和脂肪酸のうち、この二重結合が一個のものを一価不飽和脂肪酸、二個以上のものを多価不飽和脂肪酸といいます。多価不飽和脂肪酸は二重結合の位置によってn−3(オメガ3)系、n−6(オメガ6)系に分類されます。飽和脂肪酸はしっかりした構造になっているので劣化しにくいのですが、不飽和脂肪酸は不安定な構造で化学反応が起きやすいために劣化しやすい傾向があります(二重結合の数が多い脂肪酸ほど反応性が高い)。
| 【「必須脂肪酸」って何?】 「必須脂肪酸」という言葉をよく耳にしますよね。「摂らなきゃいけない油と、摂ってはいけない油があるの?」みたいに思いがちですがちょっと違います。体内で作ることはできませんが体の中で重要な役割を持っているため必ず食べ物から摂らなければならないのが「必須脂肪酸」。一方、体内で作ることができる脂肪酸を「非必須脂肪酸」と呼びます。必須脂肪酸にはオメガ6系の「リノール酸」、「アラキドン酸」とオメガ3系の「α-リノレン酸」の3種類があります(健康な犬の場合「アラキドン酸」は非必須脂肪酸とされています)。 |
■飽和脂肪酸
飽和脂肪酸はラードやバターなどの動物性脂肪や、植物性脂肪ではココナッツ油などに多く含まれています。劣化しにくく加熱調理しても変化しにくいので、料理に使う油に適しています。
飽和脂肪酸を多く含む油脂は常温(約20度)で固体となります。飽和脂肪酸を摂りすぎると中性脂肪や動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールや中性脂肪を増やし、肥満や動脈硬化などを引き起こすと言われていますが、逆に摂取量が不足した場合も同様に生活習慣病リスクが高まります。
■不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は、「一価不飽和脂肪酸(オメガ9)」と「多価不飽和脂肪酸(オメガ3、オメガ6)」に分類されます。
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【「オメガ」って何?】 |
・一価不飽和脂肪酸(オメガ9)
上の図で、この仲間になっている油はよくスーパーマーケットのオイル売り場で、「揚げ物サッパリ!」「ドレッシングにも!」等と書かれて売られているものですね。このオイルたちに含まれる「オレイン酸」がオメガ9の代表的な脂肪酸。動物性脂肪では牛脂や豚脂に多く含まれます。体内では飽和脂肪酸から合成されるため、必須脂肪酸ではありません。オレイン酸には動脈硬化を予防する他、カルシウムを骨に沈着させる働きがあると言われています。とくにオリーブオイルには胃酸の分泌を調整する働きもあると言われ、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の改善も期待できるようです。多価不飽和脂肪酸に比べて劣化しづらいため、加熱調理に向いています。ただし、開封後放置しておいたり、光が当たる場所で保管したり、温度変化に晒されすぎると劣化してしまいますので注意が必要です。
・多価不飽和脂肪酸(オメガ6・オメガ3)
-オメガ6「リノール酸」
体内で作り出せない必須脂肪酸の「リノール酸」がオメガ6の代表的な脂肪酸で、大豆油やひまわり油、コーン油などキッチンに常備されているオイルに豊富です。リノール酸が不足すると皮膚トラブルの原因になります。また、一部は体内でγ-リノレン酸に変換され、体機能を調整するホルモン様物質の原料になります。健康のために必ず摂取しなければならないリノール酸ですが、摂りすぎると逆に心臓・脳血管系疾患、癌、アレルギー性疾患、その他炎症性疾患を引き起こすとされています。日常的に使いやすい油が多いですが、他の脂肪酸とのバランスをとりながら利用してください。AAFCO(米国飼料検査官協会)のドッグフードガイドラインでは、乾物重量(水分を取り除いた重量)1%のリノール酸が最低基準とされています。
-オメガ6「γ-リノレン酸」(ガンマリノレン酸)
ごく一部の植物油(月見草オイル・ボラージオイル・ヘンプシードオイルなど)に含まれる脂肪酸。様々な生理効果のあるγ-リノレン酸ですが、特に皮膚・被毛の健康に重要です。基本的には体内でリノール酸から作りだされますが、皮膚トラブルを抱えている人や犬、高齢者・シニア犬の場合、リノール酸をγ-リノレン酸に変換する酵素(デルタ6デサチュラーゼ)の働きが弱まっている可能性があるため、最初からγ-リノレン酸を含むオイルを経口摂取したり塗布するなどすると良い場合があります(γ-リノレン酸はアトピーの治療薬としてイギリス・ドイツなど10ヶ国以上で認められています)。免疫機能を整える、皮膚の健康を保つ、炎症を抑制する、女性ホルモンの分泌を整える、アトピー性皮膚炎の改善などがいわれています。
-オメガ3「α-リノレン酸」(アルファリノレン酸)
オメガ3の代表で体内では作り出すことのできない脂肪酸ですが、他の必須脂肪酸に比べて摂取量が少なくなりがちです。オメガ3が不足すると、アレルギー症状、皮膚トラブル、新陳代謝の低下、傷の治りの遅れなど、さまざまな不快な症状が現れます。適切な量を摂取すると脳機能の活性化や免疫機能の向上、関節炎や皮膚炎、腸炎、アレルギーなどの炎症性疾患の症状を緩和すると言われています。亜麻仁油(フラックスシードオイル)やシソ油、エゴマ油、インカインチオイルなど特殊な植物油に多く含まれます。
青魚などに豊富に含まれる「DHA(ドコサヘキサエン酸)」、「EPA(エイコサペンタエン酸)」もオメガ3系の脂肪酸で、α-リノレン酸を摂取すると一部は体内で変換されてDHA、EPAが作られます。
二重結合の多いオメガ3系の脂肪酸(α-リノレン酸は3個、EPAは5個、DHAは6個)は非常に劣化しやすいデリケートなオイルです。酸化すると体に悪影響を及ぼす「トランス脂肪酸」になってしまいます。加熱しない、光に当てない、空気に触れさせないように気をつけて、開封後はできるだけ早く使い切ってください。

| 【オメガ6とオメガ3の摂取バランス】 厚生労働省は「第6次改定日本人の栄養所要量(2000年)」で、食品に含まれる「オメガ6系脂肪酸」と「オメガ3系脂肪酸」の摂取比率を「4:1」程度とすることを推奨しています(その後「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では、1日あたりに摂取したい目標量が設定されています)。犬や猫の場合、理想的な摂取バランスについての研究はまだ途上にあり、市販ペットフードでは1:1〜20:1程度まで様々な比率で配合されています。1種類のオイルに偏らずいろいろな種類のものを与えることで結果的にバランスが良くなりますので、ローテーションを心掛けてください。 |
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<オイルの製法>
植物の油分は主にナッツや種子・胚芽部分に多く含まれており、抽出されて植物油となりますが、この抽出方法によってオイルの品質は大きく異なってきます。「低温圧搾法」でつくられたオイルは最も品質が良い反面、安定性が低く酸化しやすいため、賞味期限は短く保管方法にも様々な注意が必要です。より効率的な製法として「溶剤抽出法」があり、これらの製法でつくられたオイルは価格的に手頃です。精製による化学処理を施されているため安定性が高く、加熱にも強いという特性がありますが、本来の風味や栄養成分は失われてしまいます。
■低温圧搾法
原料を低温でプレスして物理的に油を搾り出し、ろ過するだけのシンプルな製法です。製造時に高熱が加わらないため酸化によるトランス脂肪酸の生成がなく、個々のオイル特有の風味や栄養成分がそのまま残っています。ただし、非常に手間がかかり歩留まりも悪い(収量15〜50%程度)ため、製品価格は高価になります。
■溶剤抽出法
原料の油分を化学溶剤で抽出する方法で、歩留まり100%に近い効率的な製法ですが、有毒な溶剤を除去し脱臭や色素除去・添加などの精製の過程を経る中でオイル本来の持つ天然の個性が失われてしまいます。また、体に有害なトランス脂肪酸が高い割合で含まれてしまう可能性があります。
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<愛犬厨房取扱いオイル>
■ボトル入りオイル
手作り食の定番オメガ3オイル(α-リノレン酸54%含有)。契約農場で栽培された亜麻種子から低温圧搾・未精製で製造されたカナダ・オメガニュートリジョン社の製品です。亜麻仁油特有の渋みがありますが、ドレッシングなどに利用するとコクがあり、さっぱりした味わいになります(加熱不可)。外用すると肌をやわらかくしなやかにしますが、やや重めのテクスチャーなので多少べたつきます。冷蔵庫で保管してください。
アマゾン原産のナッツから低温圧搾・未精製で製造されたオメガ3ヴァージンオイル(α-リノレン酸53%含有)。まるで草原のように芳醇な緑の香りが漂うオイルの美味しさは、2004年フランスで開催された「パリ・ウォルル食用油サロン」で金賞を受賞したほど。ビタミンEが非常に豊富に含まれている(200mg/100g中)ため酸化に強く、オリーブオイルと同じ感覚で加熱調理にも利用できます。さらっとした手触りで伸びも良く、香りも爽やかなため、外用にも使いやすいオイルです。冷蔵庫で保管してください。
γ-リノレン酸を最も多く含むオメガ6オイル(23%含有)。低温圧搾・未精製で製造されたカナダ・オメガニュートリジョン社の製品です。特有のクセのある油臭さがあり食卓用のオイルには不向きですが、飼い主さんも愛犬と共にサプリメントオイルとしてご利用いただけます(加熱不可)。無刺激性で外用にも優れた効果のあるオイルですので、マッサージオイルにも最適。シワ形成予防などの効果も謳われていますので、ローションに加えるなどして飼い主さんのフェイスケアにもオススメです。冷蔵庫で保管してください。
主に静岡県・焼津港で水揚げされたメバチマグロを原料に、化学処理・高熱処理を行わずに抽出・精製されたマグロ油のソフトカプセル。体内で直接利用されやすいオメガ3脂肪酸のDHA(27%以上)やEPA(6%以上)が豊富に含まれており、愛犬の嗜好性も非常に良いオイルです。魚の臭いが強いため外用には不向きです。
「ケーナインヘルス」のDr.Harvey’s 社製品。3種類のオイル(亜麻仁油、ボラージ油、フィッシュオイル)がブレンドされているため、α-リノレン酸・γ-リノレン酸・EPA・DHAが一度に摂取できるのが特徴。カプセル入りで酸化の心配もありませんので、小型犬〜中型犬の場合は特に便利にご利用いただけます。外用も可能ですが、やや匂いが気になります。
亜麻は、その茎からリネン(亜麻布)をつくる中東原産の植物。その亜麻の種子(フラックスシード)から搾油された亜麻仁油は、オメガ3脂肪酸「アルファリノレン酸」の供給源として優れた食材です。外用すると肌をやわらかくしなやかにしますが、やや重めのテクスチャーなので多少べたつきます。
ボラージ(ルリジサ)は古代ギリシャ時代からワインの香り付けに用いられ、以来ヨーロッパの人々に親しまれてきたハーブ。その種子から搾油されたボラージ油はオメガ6系の脂肪酸であるガンマリノレン酸が極めて豊富で、同じくガンマリノレン酸豊富な月見草オイルのおよそ2〜3倍の含有量があります。このガンマリノレン酸は皮膚の表皮細胞に特に重要な脂肪酸ですので、口から摂るだけでなく、マッサージオイルとしての利用もおすすめです。中身を手に取ったら手のひらによくなじませ、犬の体全体を撫でるようにすると毛艶がアップします。
サーモンオイルには、体内で直接利用されやすいオメガ3脂肪酸のEPAやDHAが豊富に含まれています。この海の香りのオイルは、植物油とは比較にならない嗜好性の高さが特徴。体に良いだけでなく、とっても美味しいサーモンオイルは愛犬のお気に入りアイテムになること間違いありません。![]()
[オイルもいろいろローテーションしましょう!]
オイルも食材のひとつです。それぞれのオイルには違った栄養素が含まれているので、1本使い切ったら次は別の種類のオイル・・・という風に、できるだけいろいろなものをローテーションしながら与えることをお勧めします。なかなか使い切れないかも、というときには、ぜひ飼い主さんも一緒にドレッシングにしたり、お肌をマッサージしたり、新鮮なうちに使い切ってくださいね。小型犬の場合はカプセル入りのオイルが酸化の心配がなくオススメです。大型犬の場合も、ボトル入りオイルをベースにカプセルオイルを組み合わせると、一度にいろいろな種類のオイルが摂取できます。
[与えすぎにご注意を!]
体に良いと言われるオイルも、もちろん与えすぎるとカロリーオーバーで肥満の原因になりますし、下痢を引き起こす場合もあります(愛犬に下痢の症状が見られる場合は、しばらくの間オイルの給与を控えてください)。また、オメガ3やオメガ6脂肪酸を多く含むオイルは非常に酸化しやすいため、過度の摂取は体に悪影響を及ぼす場合もあります。体重1kgにつき1日あたり0.5cc程度を上限の目安に、愛犬の様子を観察しながら量を調整してください。
[抗酸化サプリとセットで安心!]
オメガ3やオメガ6脂肪酸を多く含むオイルは健康に役立つ反面、体の中で酸化して悪影響を与えるリスクもあります。これを防ぐには、ビタミンEなどの抗酸化サプリメントを定期的に与えるのがオススメ。また、米ぬか油やインカインチオイルなどビタミンEを多く含むオイルを選ぶのも良いでしょう。
[いいオイルは外からも!]
皮膚のトラブル解消には、口からいいオイルを摂ると共に、マッサージオイルとして外から働きかけるのも効果的。特に、γ-リノレン酸を含むボラージ油やヘンプシードオイルをオススメします。食用オイルをマッサージに使っても問題ありませんし、舐めても(もちろん!)心配ありませんので、むしろお勧めです。
| 【オメガ3で痩せる?】 最近、ダイエットに詳しい人たちの間では「オメガ3系脂肪酸で痩せる」という話題が。油で痩せるなんて?とびっくりしますよね。オメガ3には生理機能を活性化する働きがあり代謝を促進するため、痩せやすい体につながるといえます。また、お化粧をする方には理解しやすいと思いますが、体内に溜まってしまった脂肪を落としやすくする効果も期待できるようです。オイルクレンジングの仕組みですね。太り気味のわんこに、低脂肪、低カロリーばかりのごはんを与えていると、新陳代謝が衰えてさらに太りやすく活気のない子になってしまうことがあります。オメガ3を含んだオイルをうまく使って、健康的にダイエットさせたいですね。ただし、与えすぎはもちろん肥満につながりますのでご注意を。 |